概要
機械・構造物の振動や騒音を低減するため、実験モード解析法で対象物の振動特性を把握することがあります。従来、低次の振動モードは把握しやすく、高次の振動モードはモード減衰比が大きいため振動モードを把握するのが困難でした。速度フィードバック加振力を加え実験モード解析することにより、高次の振動モードを低減衰化することで、振動モードを把握できます。
従来技術
低次の振動モードはモード減衰比が小さく共振峰をとらえやすいが、
高次の振動モードはモード減衰比が比較的大きいため共振峰をとらえにくかった。
優位性
減衰力を小さくする速度フィードバック加振力を加え実験モード解析することにより、
高次の振動モードを低減衰化することで、モード特性を同定でき、高減衰な高次振動モードの振動・騒音の低減対策が可能になります。
特徴
製品の設計において「騒音」「振動」の制御は、建物など大型構造物のみならず、機械装置、洗濯機やエアコンなどの家電の静音化、車、バイクの乗り心地などの快適性の追求など、私たちの生活に身近な製品の品質向上において重要な課題です。
実験モード解析とは、製品設計開発プロセスの中で、実際に対象物への加振試験を行い、対象物の固有振動、固有振動数、減衰特性といった振動特性値を求め、理論値に適合するようモード特性を同定する解析手法です。
既存の実験モード解析では、ゴムなどの減衰の大きな系の高周波数領域の振動特性は、対象物全体に振動が伝わりづらく振動モードがとらえにくいという問題がありました。
上記課題の解決のため、速度に比例する「制御力」をフィードバックすることにより減衰力を打ち消し、振幅を増大させることでモード形状を確認しやすくし、減衰の大きな系における解析を容易にする「速度フィードバックを用いた実験モード解析法」という解析手法を開発しました。
実用化イメージ、想定される用途
・タイヤなど高減衰な材料を用いた製品の振動特性を容易に把握し、製品開発できるようになります。
・大型の機械・構造物の高次の振動モードを把握し、振動・騒音を低減することができます。
実用化に向けた課題
・多自由度系での振動系全体に与える減衰の影響検討
・連続体・実構造物へ低減衰化モード解析法を適用し効果を検証
研究者紹介
田尻 大樹 (たじり だいき)
豊橋技術科学大学 機械工学系 助教
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
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知的財産等
掲載日:2023年08月09日
最終更新日:2023年08月09日