概要
生体、環境中には数多くの陰イオン(アニオン)が存在し、重要な役割を果たしています。そのため、これらアニオンの存在量を把握しておくことは生命現象、自然現象の解明には欠かせません。簡便、迅速、安価な新規分析法としてアニオン認識比色試薬によるアニオンの比色分析法の開発を目的としています。
従来技術
・イオンクロマトグラフィー法
・高速液体クロマトグラフィー法
優位性
・短時間でアニオンの種類と(従来法よりも精度は劣るが)濃度が判明。
・低コスト、簡単な手順で分析が可能。
特徴
従来のアニオン分析法は、イオンクロマトグラフィーを始めとする機器分析法が主で、費用、時間がかかり、特にその場分析が事実上不可能です。本研究は簡便、迅速、安価な新規分析法としてアニオン認識比色試薬によるアニオンの比色分析法の開発を目的としています。
開発の手順としては、以下の2段階です。
- 水素結合により認識・結合し、その情報を色の変化により検出する新規アニオン認識比色試薬の分子設計及び新規合成する。
- 水系、非水系それぞれにおいて合成したアニオン認識比色試薬のアニオン認識機能を評価する。
現在、アニオンを認識する部位としてのチオ尿素基、イソチオ尿素基にパラニトロフェニル基、ジエチルアミノ基などを結合したアニオン認識試薬が有機溶媒中において酢酸イオンを選択的に認識し、溶液の色調を変化させることを見出しています。さらに、開発したアニオン認識試薬をガラス基板やナノファイバーシートへと結合し、その場分析を可能にするアニオン分析チップ、アニオン分析シートの開発にも取り組んでいます。
実用化イメージ、想定される用途
・食品・河川水等に含まれるアニオン濃度をその場で分析するデバイス
具体的イメージ
・pH試験紙のように試験紙の色の変化から目視で簡易にアニオンを分析する紙デバイス
・分析チップにサンプルを接触し小型分光計で計測する分析デバイス
実用化に向けた課題
・アニオン以外の妨害因子についての検討
・色を持つサンプルに対しての分析手法・分析デバイスの開発
研究者紹介
加藤 亮 (かとう りょう)
豊橋技術科学大学 教育研究基盤センター 准教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2021年05月27日
最終更新日:2021年05月27日