
概要
環境計測の分野では光、音、温度、圧力、加速度といった複合情報を統合的にとらえるマルチモーダルセンシングが有用です。複数のガス成分(=におい)を統合的にとらえること、いわばガスのマルチモーダルセンシングが実現できれば、環境計測分野での新たな展開が見込めます。

従来技術
・単一ガスを高感度、高い選択性で検知するものであり、複数のガス成分を統合的に捉えられない。
優位性
・複数種類のガスを1チップで同時計測可能です。
・画像出力型センサの出力を深層学習することにより、非理想環境下での計測にも対応可能です。
特徴
ガスの検出選択性や感度だけにとらわれることなく、様々なガスを幅広く検出可能なセンサシステムを開発しています。
ガスの透過特性を制御する素子を新たに開発し、AIを活用した信号処理を導入することで、マルチガスセンシングを実現できます。
【マルチモーダルガスセンサの概要】
- 画像出力型ガスセンサ
(各ガスに対応した画像を出力する) - 特性可変型分子ふるい機構がある
(センサの数を増やさず別センサ動作可能)
⇒ 1チップで複数種のガスを検出
<マルチモーダルガスセンサ使用のメリット>
- 複数種類のガスを1チップで同時計測可能
⇒複数のガスセンサが不要なため、非理想環境(夾雑物,湿度など)でもガス計測可能 - 分子ふるい機構と深層学習により多様なガスに対応
⇒AI活用に対応した信号処理が可能


実用化イメージ、想定される用途
・環境計測機器用センサ
・車載バッテリー等の健全性モニタリング
・ガス(ニオイ)による機器の故障予測
・施設園芸(植物工場)のモニタリング
・介護、見守り分野への応用展開
実用化に向けた課題
・特性可変型分子ふるいのガス透過特性検証
・各種ガス対応した出力画像を用いた深層学習の結果検証
・センサ部以外に必要となる計測システムの開発
研究者紹介
野田 俊彦 (のだ としひこ)
豊橋技術科学大学 次世代半導体・センサ科学研究所 准教授
researchmap
研究者からのメッセージ(企業等への提案)
単にガスやニオイを数値的に捉えるのではなく、ビッグデータとして解析する事で「傾向をつかむ」「全体の状態を把握する」のが本センサの特徴です。共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2020年04月28日
最終更新日:2023年06月23日