概要
一般に液晶性を示しにくい硫黄系置換基を導入した棒状分子において、高い複屈折性を有するだけでなく、室温付近にて液晶相を示す分子設計指針を見出しました。高分子化することで位相差フィルムや偏光フィルムなどへの応用が期待できます。
従来技術
室温付近で液晶性を示す高複屈折材料の製作が困難です。
優位性
・低融点で高屈折率及び高複屈折を示す液晶材料が製作可能です。
・硫黄活用で低廉な価格が期待できます。
特徴
<高複屈折性液晶材料の開発課題>
- 室温付近で液晶性を示す高複屈折材料の開発は困難。(複屈折の向上と相転移温度の低下はトレードオフ)
- 分極率の高い硫黄を含むアルキルチオ基(-SR)の分子構造への導入は有効であるが、棒状分子では液晶相を示しにくい。
本研究室では、アルキルチオ基とアルキル基との非対称系のジフェニルージアセチレンを合成することで、広い温度範囲で液晶性を示す高複屈折性分子を開発しました。
【成果】
- 複屈折(Δn)が0.3を超える液晶材料
- 室温まで液晶相が過冷却されるπ-共役系棒状分子
- 可視領域に吸収を持たない透明材料
実用化イメージ、想定される用途
・薄膜位相差フィルム
・LCDの透明偏光板(低消費電力化)
・コレステリックフィルム
・偏光フィルム
実用化に向けた課題
・室温にて液晶配向状態の固定を可能とする高分子材料への展開
・室温以下で昇温・降温の両過程にてネマチック相を示す高複屈折性液晶材料の開発
研究者紹介
荒川 優樹 (あらかわ ゆうき)
豊橋技術科学大学 応用化学・生命工学系 助教
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
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知的財産等
掲載日:2020年05月25日
最終更新日:2020年06月23日