概要
漫然運転や前方不注意などの「発見(認知)の遅れ」による交通事故がいまだ多く発生しています。とくに、疲れや眠気などにより、運転への意識が低下した状態では事故のリスクが高まります。本研究では、ドライバの動きから注意力低下の兆候となる行動を検知し、注意力状態を予測する方法を提案します。
従来技術
車載カメラでは、居眠りや脇見の検知が可能ですが、カメラ映像の記録・伝送・分析のコストは大きく、プライバシーの問題を含めて常時監視とデータ活用には多大な労力が必要です。
優位性
ドライバの挙動(手の動き)を装着型センサを用いて検出・分析します。スマートウォッチに代表されるような小型・低コストな装備で、ドライバ行動の常時計測とモニタリングが可能です。
特徴
ドライバの手の動きを手首に装着した加速度センサで検出します。検出した手先加速度から注意力低下の兆候となる行動特徴、たとえば、運転操作の乱れ、また作業とは直接関係のない副次行動の発生頻度など、を機械学習の手法により検知します。これらの行動特徴は、顔表情や眼球運動などと比べて比較的大きな運動で検出しやすく、加速度センサのような小型・低コストな装備で計測できます。さらに、検知した行動特徴を指標(パラメータ)化し、本指標に基づきドライバの注意力状態を段階的に判定します。
実用化イメージ、想定される用途
・ トラック・バス等の安全運転支援
・日常運転行動のふりかえりと安全教育への応用
・ 単調作業におけるヒューマンエラーの防止
実用化に向けた課題
・ 個人差を考慮した検知・判定手法の最適化
・ 実車環境下での車両振動等の影響評価
・ より装着感のない超小型センサの開発
研究者紹介
秋月 拓磨 (あきづき たくま)
豊橋技術科学大学 機械工学系 助教
researchmap
研究者からのメッセージ(企業等への提案)
各種センサ信号の解析とデータ駆動型の予測・診断技術について研究をすすめています。本技術に興味を持っていただき、共同研究あるいは技術相談をご検討の際はご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2020年06月19日
最終更新日:2020年10月08日