概要
高効率かつ低騒音な高機能な流体機械の開発を目的とした研究を行っています。近年、ファンにおいては性能とともに静粛性が求められており、設計段階において騒音を予測・低減することが望まれています。
本研究では、電子機器等の冷却装置として用いられる比較的小型の軸流ファンを対象として、発生する音の低減を目的に、ケーシング形状や設置環境がファン性能および騒音に及ぼす影響について分析しています。
従来技術
ファンに関しては、翼形状やケーシング形状を変化させ空力特性の向上を目指した研究がありますが、騒音の評価は近似モデルを用いていたため、音の発生原因を十分に解明することが難しい場合があった。
優位性
・流れと音を予測可能な数値解析を実験と合わせ実施し、ファンやケーシングの形状が性能および発生音に及ぼす影響を評価できます。
・ファン設置環境による性能の変化や騒音の変化についても予測可能です。
・圧縮性解析のため比較的高い回転数であっても予測可能です。
特徴
【研究事例】
ケーシングスリットがファン性能・騒音に及ぼす影響についての圧縮性流れ解析
ケーシングにスリットを有する小型軸流ファン周りの流れと発生音に関して数値解析を実験とともに行い、解析精度を実証するとともに、スリット開口率が変化した場合の流れと発生音の変化を明らかにしました。
本解析手法は流れと発生音を同時に高精度に解く手法であり、回転流体関連機器の流れ場や発生音の予測への応用が期待されます。
【成果】
- ファンによる圧力上昇量および動翼後流とストラットの干渉などにより発生する音を精度よく予測できます。
- スリット形状が変化することで、翼端周囲の流れ場が変わり、性能や発生音に影響を及ぼす。
- 翼端部付近では翼端渦が形成され、翼端渦が隣接翼と干渉する際には広帯域騒音が強まる。
実用化イメージ、想定される用途
・小型軸流ファンの低騒音化
・ファン設置環境が性能・発生音に及ぼす影響に関する設計段階での評価
実用化に向けた課題
・現状では、数値解析コストの問題より解析可能なファンの大きさや種類には制約がある。
研究者紹介
横山 博史 (よこやま ひろし)
豊橋技術科学大学 機械工学系 准教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また、協力しながら研究に取り組める共同研究等をご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2020年09月23日
最終更新日:2020年09月23日