研究シーズの泉

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しゅう動部のエネルギーの無駄遣いを減らせます

複合金属酸化物による高温潤滑メカニズムの解明と高温固体潤滑剤の開発

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

機械部品の様々なしゅう動部には、摩擦や摩耗を低減するためにオイルやグリスを塗布することが一般的です。しかし、しゅう動部が高温になるような部位ではこれらの潤滑剤は機能しないことがあります。このような場合、二硫化モリブデンやグラファイトなどをベースとした固体潤滑剤が用いられますが、それでも400℃以上での使用は実用上困難です。このような高温で使用できる固体潤滑剤の開発が求められています。

従来技術

・過酷な高温雰囲気下では、オイルや固体潤滑剤では潤滑性が大幅に劣化する。
・耐熱性と耐摩耗性を重要視した材料でも、しゅう動性については、できあいとなることが多い。

優位性

・モリブデン酸銅では500℃以上、モリブデン酸銀では200℃以上の高温環境下での潤滑性が発揮されます。
・高温しゅう動部基材の摩耗量低減に効果が期待されます。

特徴

【研究成果】

一般的な固体潤滑剤では潤滑効果が発揮できない200℃以上の高温環境下において、潤滑性を発揮する材料としてモリブデン酸塩に着目し、その潤滑性能および潤滑メカニズムを調べました。

  1. モリブデン酸銅(Cu3Mo2O9)は基材の主成分である鉄を触媒とした還元反応により、酸化していない銅を生成し、この低せん断物質の生成により潤滑性が向上したと考えられます。
  2. モリブデン酸銀(Ag2MoO4)では200℃程度の温度において、せん断力が加わることによって酸化していない銀を生成し、モリブデン酸銅よりもさらに低温から潤滑性を発揮することが分かりました。
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モリブデン酸銅高温潤滑性のメカニズム
018_2 y.takeichi fig.2.1.png
摩擦係数の温度変化

実用化イメージ、想定される用途

・エンジン用排気弁、タービン、工業炉搬送系などに使われるしゅう動用部品
・高温化で使用可能な固体潤滑剤

実用化に向けた課題

潤滑材料の組合せに応じ研究が可能ですが、材料企業の協力が必要です。

研究者紹介

竹市 嘉紀 (たけいち よしのり)
豊橋技術科学大学 機械工学系 准教授
researchmap

研究者からのメッセージ(企業等への提案)

メカニズム解明の研究のため固体潤滑剤の実用化にはまだ時間が必要です。この技術にご興味をお持ちのユーザー企業、材料企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2021年03月25日
最終更新日:2021年03月25日